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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

この時はじめて、室一重にいた誰とも知らぬ一人が声をかけた。

「うむ、いや、取調べている」

芹沢が、お松を見つけて苛めつけているのを、さいぜんから見もし聞きもしていながら、今になってただ一語、

「何をしておる」

咎めた声は怖ろしく沈んだ男の声。芹沢も多少きまりが悪く、

「取調べている」

とごまかして、それでもお松を放そうとはしない。

「取調べが済んだら、早う御処分をなさい、大事の前の小事から謀が破れるわ」

「それもそうじゃ」

芹沢はしぶしぶと身を起し、

「とは言え、この女、油断がならぬ」

「お斬り捨てなさい」

こともなげに隣室から走る一語、お松の骨を刺す冷たさがある。

「斬り捨てるほどの代物でもない」

「然らば拙者が預かろう、貴殿は早く同志を沙汰して、ずいぶん抜かりのないように。なんにしても相手が相手だ」

「では、この女、しばし君に預ける」

「いかにも、預かり申す」

「大事に扱え、これはソノ、御雪が妹分じゃ、無茶なことをしてはならんぞ」

「ともかくも拙者が、よきように預かる」

「そうか」

芹沢は残り惜しそうな面をして、お松を隣室に抛り込んで、自分はこの場を外して行く。

「これ女」