Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
金蔵は悪党に返った。
「金蔵さん、殺して下さい」
意外にもお豊は驚かなかった。
「ここでお前に殺されたとて、誰もわたしが、金蔵さんと心中したと思うものはありますまい、どうせ、わたしも罪の尽きない身体ですから、お前さんに殺されて上げましょう、さあ殺して下さい」
「ナニ、殺せ? よし殺すとも」
金蔵は短刀の鞘を払って、お豊の胸元を左の手で掴む、お豊は争わず。こうなってみると、無茶な金蔵にも刃が下せない。
「お豊さん、殺される命なら、ナゼ生きた身体をわしにくれないのだい……同じことじゃないか、生きていた方が割がいいじゃないか」
「金蔵さん、もうそんなことを言わないで、早く殺して下さい」
「殺す、殺すには殺すが……お豊さん、もう一ぺん考えてみておくれ」
「わたしは死んだほうがようござんす」
「死んだ方がいい? ああ、なぜお前はそんなにわからねえのだ。よし殺す……そうしてお豊さん、わしは、ここでお前を殺しておいてね、薬屋の家へ火をつけるよ、それから、陣屋の植田へも火をつけるよ、その上に三輪の神杉へも鉄砲の煙硝を振りまいて火をつけるよ、そうして薬屋の者も丹後守の奴めも、殺せるだけ殺して、わしはその火の中で焼け死ぬのだ、いいかい――」