Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「岡田伸弥の家族の方ですね」とその男は息苦しそうに、喘ぎながら云った、「いま昏睡状態で、係り官が来るでしょう、お会いになってもわかりませんよ、ぼくは院長の大豊です、とよはゆたかという字です、表に看板が出ていますが、まあお掛けなさい」
母はおろおろ声で容態をたずねた。大豊院長は診察衣のポケットから、くしゃくしゃになったタバコの紙袋を出し、へし曲った一本のタバコを抜き取ると、こんどはあらゆるポケットを捜したのち、聴診器といっしょにライターをつかみ出して、ようやくタバコに火をつけた。
「なにしろ頭蓋骨折で、手足にも骨折があるでしょうね、心臓も肥大しているな、酒の飲みすぎだと思うが、ここへ担ぎ込まれたときにはもう意識不明でした、ああ、本人は苦痛も感じていなかったと思う、頭蓋骨折だからね」
「しかし」と辰弥が反問した、「住所姓名は云えたんじゃないんですか」
「それは違うね、まったく話が違うね、ああ」と院長は云った、「あの患者は意識不明のまま担ぎ込まれて来たんだ、さっきも云ったとおりね、係り官は聞いたかもしれない、たぶん係り官が事故現場へ駆けつけたときには、まだあるいは口がきけたかもわからん、しかしここへ担ぎ込まれて来たときは、意識不明で口をきくどころじゃなかった、はっきり云えばだな、丸太ン棒を放り出されたみたようなもん