Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
そこで、すぐ米を買いに行ってくれると思ったところ、漸く安心したらしいお神さんは、顔の皺を伸ばして、続いて私たちに言うに、見るところお前さんたちは、浪花節だろうね。浪花節はわしも好きならこの村の人たちは誰でもみんな好きだ。ところで、今夜お前さんたちがわしの店で一席やれば、村の人を大勢集めてきてお鳥目を貰ってやる。そこで、この五十銭はお前さんたちに返してもいいことになるのだがどうだい奮発して面白いところを一席やってみないかね。五十銭はここへ置くよ。
これは、飛んでもないことになってきた。だが、私らは浪花節にみえるのかも知れない。三人は、頭の毛が伸びている。殊に私は、羊羹いろの斜子の紋付を着ている上に、去年の霜月の末に、勤め先を出奔して以来というもの、一度も理髪屋へ行ったことがない。髪が汚く伸びて、ふわふわと肩のところまで垂れ下がっている。手の指も細いのだ。
『いや、浪花節じゃありません。ちがいます、ちがいます』
と言って、三人で極力弁解したが、なかなかお神さんは承知しない。俳行脚の者であると説明したところで、こんなお婆さんに理解がゆく訳がないのだ。
『嘘ついても駄目だ。