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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

古い関係者は、それぞれ社会に立って活動はしているが、旧い主家の左前は寂しい。故郷の村に住んでいた年月よりも、有楽町の土を踏んでいた歳月の方が比較にもならないほど長い連中ばかりであるから、なんで主家の凋落を喜ぶ者があろう。頼母木の悲壮な決意にこぞって随喜の涙を流した。

そこで私は、心豊かな気持ちとなり四月の上旬、将棋の名人木村義雄と二人で、朝鮮旅行に赴いて、二十日すぎに帰京してみると、飛んでもない話をきかされて、狐につままれたのではないかと思った。それは、頼母木桂吉が報知新聞社長をやめて、東京市長に就任したということである。腹が立った。いまいましかった。暮れと春と、二度も眼頭を熱くして感激した己の愚かさを顧みた。

『馬鹿々々しい』

と、私が呟くと、その話をしてくれた友人が、

『あれは、政党屋なんだよ。自分の言葉に責任は持たんのさ……』

と、私を慰め顔にいう。

『それにしてもだ――』

私の憤慨はなかなかとまらなかった。すると、木村義雄が、

『東京市と報知新聞社とどちらが国家的に重い位置にあるかは別問題として、自分は報知新聞社と生命を共にすると言ったのであるから、僕であったならどんな話を持ってこられようと自分の言葉のために、自分の意地のために報知新聞社を捨てないだろうと思うな』