Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
どうも寅派の方に味があると思う』と答える。暫時談話がやんでいると、また桃水君が、
『あの婆さんは、一度止めたんだが、出て見るとやはり声が佳いものだから、近頃又始めたのだそうだ』
『ええ、とにかく芝派の元老ですからね』、芝土志の噂をしているらしい。桃水君は自ら三味線を執って唄う自慢の歌沢が聞きたい。
まず芝土志が現われる。例の如く江戸時代の渋味を大切に、皺の間に保存しておくような顔で跋の足には大きな繻子の袋を冠せて、外見を防いでいる。見るから感じのおだやかなお婆さんである。三味線は清子である。淡雪と枯野を楽に唄い退ける。非常な喝采だ。『これだから誰でも歌沢が好きになるのだ』と背後の方で誰かが言う。
次に芝鈴が出た。四十歳ばかりの年増で、態度がちと無造作だ。私はこの人のを聞くのは初めてである。淀の川瀬と柱立を唄う。土志と変わって非常に大きな声で物にもよるだろうが唄い振り、節回しが頗る粋だ。聞く人によっては鈴の方が好きだというかも知れない。
終わるとまず桃水君が『フフウン』と感じ入った。
『しかし芝土志は、枯野の田面をたおもと唄った。あれはたのと唄わなくちゃいけない。