Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
絵にあるように、頭から背中からまる出しにして、公園の噴水の如くに、美しく四方に水が散っているのではない。シュッシュッと、斜めに短く、自動車のお尻から出る煙のように吹いているのだ。
船は全速力で、追跡をはじめた。次第に鯨に迫って行く。海中へ沈んでは潜り、潜っては背中を出す鯨だ。ついに、舳から四、五十間のところまで追いつめた時、一頭の鯨がむっちりとした大きなお尻を波間へ出した。
だが、そのとき鯨は自分が船に追いかけられているのを覚ったらしい。全速力――鯨は一時間十五哩走る力がある。それで走ったから、全速力十三哩のキャッチャーボートでは追いつかれない。とうとう、鯨群をまだ晴れきれない霧の中へ見逃してしまった。
おいしいところは、あのむっちりとした腰の肉なんですか、と船長に問うと、そうです、あれは例の鰮鯨で腰肉が素晴らしくおいしいのだが、あんな処女のように丸々とした腰を持っていながら、なかなかの薄情ものだ。雌雄連れ添って泳いでいる鯨を、まず雄の方から先に撃つと、雌は雄の苦しむのを見捨ててまっしぐらに逃げてしまう。それまでは随分喋々喃々とやっていたのであろうが、身に危険が迫ると恋人も何もない。