Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Lesen Sie 支那游記 (「しなゆうき」) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.859 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

四 廬山(下)

しかし其処を通り抜けると、薊や除虫菊の咲いた中に、うつ木も水々しい花をつけた、広い草原が展開した。その草原が尽きるあたりに、石の垣をめぐらせた、小さい赤塗りの家が一軒、岩だらけの山を後にしながら、翩々と日章旗を翻している。私はこの旗を見た時に、祖国を思った、――と云うよりは、祖国の米の飯を思った。なぜと云えばその家こそ、我々の空腹を満たすべき大元洋行の支店だったからである。

四 廬山(下)

飯を食ってしまったら、急に冷気を感じ出したのはさすがに海抜三千尺である。成程廬山はつまらないにもしろ、この五月の寒さだけは珍重に値するのに違いない。私は窓側の長椅子に岩山の松を眺めながら、兎に角廬山の避暑地的価値には敬意を表したいと考えた。

其処へ姿を現したのは大元洋行の主人である。主人はもう五十を越しているのであろう。しかし赤みのさした顔はまだエネルギイに充ち満ちた、逞しい活動家を示している。我々はこの主人を相手にいろいろ廬山の話をした。主人は頗る雄弁である。或は雄弁過ぎるのかも知れない。何しろ一たび興到ると、白楽天と云う名前をハクラクと縮めてしまうのだから、それだけでも豪快や思うべしである。