Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Lesen Sie 支那游記 (「しなゆうき」) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.859 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

十九 日本人

一しょに行った村田君が、「あの男は頭が好かもんなあ。」と感歎したのも不思議じゃない。のみならず李氏は留学中、一二私の小説を読んだとか何とか云う事だった。これも確に李氏に対する好意を増したのに相違ない。私のような君子人でも、小説家などと云うものは、この位虚栄を求める心が、旺盛に出来上っているものである。

十九 日本人

上海紡績の小島氏の所へ、晩飯に呼ばれて行った時、氏の社宅の前の庭に、小さな桜が植わっていた。すると同行の四十起氏が、「御覧なさい。桜が咲いています。」と云った。その又言い方には不思議な程、嬉しそうな調子がこもっていた。玄関に出ていた小島氏も、もし大袈裟に形容すれば、亜米利加帰りのコロンブスが、土産でも見せるような顔色だった。その癖桜は痩せ枯れた枝に、乏しい花しかつけていなかった。私はこの時両先生が、何故こんなに大喜びをするのか、内心妙に思っていた。しかし上海に一月程いると、これは両氏ばかりじゃない、誰でもそうだと云う事を知った。日本人はどう云う人種か、それは私の知る所じゃない。が、兎に角海外に出ると、その八重たると一重たるとを問わず、桜の花さえ見る事が出来れば、忽幸福になる人種である。