Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Lesen Sie 支那游記 (「しなゆうき」) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.859 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

十三 鄭孝胥氏

善かれ悪かれ西洋を見るのは、面白い事に違いないじゃないか? 唯此処の西洋は本場を見ない僕の眼にも、やはり場違いのような気がするのだ。

十三 鄭孝胥氏

坊間に伝うる所によれば、鄭孝胥氏は悠々と、清貧に処しているそうである。処が或曇天の午前、村田君や波多君と一しょに、門前へ自動車を乗りつけて見ると、その清貧に処している家は、私の予想よりもずっと立派な、鼠色に塗った三階建だった。門の内には庭続きらしい、やや黄ばんだ竹むらの前に、雪毬の花なぞが匂っている。私もこう云う清貧ならば、何時身を処しても差支えない。

五分の後我々三人は、応接室に通されていた。此処は壁に懸けた軸の外に殆何も装飾はない。が、マントル・ピイスの上には、左右一対の焼き物の花瓶に、小さな黄龍旗が尾を垂れている。鄭蘇戡先生は中華民国の政治家じゃない、大清帝国の遺臣である。私はこの旗を眺めながら、誰かが氏を批評した、「他人之退而不隠者殆不可同日論」とか云う、うろ覚えの一句を思い出した。

其処へ小肥りの青年が一人、足音もさせずにはいって来た。これが日本に留学していた、氏の令息鄭垂氏である。氏と懇意な波多君は、すぐに私を紹介した。