Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
二十六七か、と思ったのが――この水戸屋の娘分――お由紀さんと言うのだとあとで分りました。
――また、奇異なものを見ました――
貴下には、矢張り唐突に聞えましょうが、私には度々の事で。……何かと申すと――例の怪しい二人の婦の姿です。――私が湯から上りますと、二人はもう持参の浴衣に着換えていて、お定りの伊達巻で、湯殿へ下ります、一人が市松で一人が独鈷……それも可い、……姉の方の脱いだ明石が、沖合の白波に向いた欄干に、梁から衣紋竹で釣って掛けてさぼしてある。裾にかくして、薄い紫のぼかしになった蹴出しのあるのが、すらすら捌くように、海から吹く風にそよいでいました。――午後二時さがりだったと思います。真日中で、土橋にも浜道にも、人一人通りません。が、さすがに少し風が出ました。汗が引いてスッと涼しい。――とその蹴出しの下に脱いで揃えた白足袋が、蓮……蓮には済まないが、思うまま言わして下さい。……白蓮華の莟のように見えました。同時に、横の襖に、それは欄間に釣って掛けた、妹の方の明石の下に、また一絞りにして朱鷺色の錦紗のあるのが一輪の薄紅い蓮華に見えます。――東京駅を出て、汽車で赤蝙蝠に襲われた、のちこの時まで、(ああ、涼しい。