Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
二
時は今年の真夏だ。――
これから秋庭君の直話を殆どそのままであると云って可い。
二
「――さあ、あれは明治何年頃でありましょうか。……新橋の芸妓で、人気と言えば、いつもおなじ事のようでございますが、絵端書や三面記事で評判でありました。一対の名妓が、罪障消滅のためだと言います。芸妓の罪障は、女郎の堅気も、女はおなじものと見えまして、一念発起、で、廻国の巡礼に出る。板橋から中仙道、わざと木曾の山路の寂しい中を辿って伊勢大和めぐり、四国まで遍路をする。……笈も笠も、用意をしたと、毎日のように発心から、支度、見送人のそれぞれまで、続けて新聞が報道して、えらい騒ぎがありました。笈摺菅笠と言えば、極った巡礼の扮装で、絵本のも、芝居で見るのも、実際と同じ姿でございます。……もしこれが間違って、たとい不図した記事、また風説のあやまりにもせよ、高尚なり、意気なり、婀娜なり、帯、小袖をそのままで、東京をふッと木曾へ行く。……と言う事であったとしますと、私の身体はその時、どうなっていたか分りません。
尚おその上、四国遍路に出る、その一人が円髷で、一人が銀杏返だったのでありますと、私は立処に杓を振って飛出したかも知れません。