Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
上の二
」
と繰返しては歎息しつ。予は万々然ることのあるべからざる理をもて説諭すれども、渠は常に戦々兢々として楽まざりしを、密かに持余せしが、今眼前一本杉の五寸釘を見るに及びて予は思半ばに過ぎたり。
上の二
有恁予は憐むべき美少年の為に、咒詛の釘を抜棄てなんと試みしに、執念き鉄槌の一打は到底指の力の及ぶ所にあらざりき。
洵に八才の龍女がその功力を以て成仏せしというなる、法華経の何の巻かを、誦じては抜き、誦じては抜くにあらざれば、得て抜くべからざるものをや。
誰にもあれ人無き処にて、他に見せまじき所業を為せばその事の善悪に関わらず、自から良心の咎むるものなり。
予も何となく後顧き心地して、人もや見んと危みつつ今一息と踏張る機会に、提灯の火を揺消したり。黒白も分かぬ闇夜となりぬ。予は茫然として自失したりき。時に遠く一点の火光を認めつ。
良有りて予はその燈影なるを確めたり。軈て視線の及ぶべき距離に近きぬ。
予が曩に諸君に向いて、凄まじきものの経験を有せりと謂いしは是なり。
予は謂えらく、偶然人の秘密を見るは可し。然れども秘密を行う者をして、人目を憚る行を、見られたりと心着かしめんは妙ならず。