Japanische Klassiker mit Furigana
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くろかべ
文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
泉 鏡花
Lesen Sie 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁 (くろかべ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 72.070 Zeichen · 143 Bildschirme
三
並んで、すっと来るのを、ふと居る処を、或は送るのを見ます時にばかり、その心持がしますのです。」
著者はこれを聞きながら、思わず相対っていて、杯を控えた。
――こう聞くと、唯その二人立並んだ折のみでない。二人を別々に離しても、円髷の女には円髷の女、銀杏返の女には銀杏返の女が、他に一体ずつ影のように――色あり縞ある――影のように、一人ずつ附いて並んで、……いや、二人、三人、五人、七人、おなじようなのが、ふらふらと並んで見えるように聞き取られて、何となく悚然した。
三
「はじめて、その二人の婦を見ましたのは、私が八つ九つぐらいの時、故郷の生家で。……母親の若くてなくなりました一周忌の頃、山からも、川からも、空からも、町に霙の降りくれる、暗い、寂しい、寒い真夜中、小学校の友だちと二人で見ました。――なまけものの節季ばたらきとか言って、試験の支度に、徹夜で勉強をして、ある地誌略を読んでいました。――白山は北陸道第一の高山にして、郡の東南隅に秀で、越前、美濃、飛騨に跨る。三峰あり、南を別山とし、北を大汝嶽とし、中央を御前峰とす。……後に剣峰あり、その状、五剣を植るが如し、皆四時雪を戴く。