Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
ぜひなく、赤髪鬼の劉唐は、一応、客間へ引きさがり、あてがわれた酒の膳について、独りがぶがぶ飲んでいた。
――だが、どうにも彼は、おもしろくない。晁蓋の生返辞が気にくわないのだ。「ははアん。俺をただの与太もンと見て、相棒には不足と考えたに違いねえ」そう思うと、酒が業腹を焚きつけて、我慢がならなくなってきた。
ふと窓外を睨むと、一頭の裸馬が、裏門につないである。なに思ったか、劉唐は「……ようし」と独り呟いた。そして壁の槍掛から一本の野太刀をつかみ取って、
「与力の雷横もまだ遠くへはいっていまい。――そもそも、あいつのために、縄目にあい、ぶざまな弱音を吹いたので、晁蓋までが、この俺を、だらしのねえやつと、見くびッたのだ。雷横に追ッついて、野郎の詫び証文か片腕でも奪ってきて見せたら、晁蓋もおれを見直すだろう」
どんな自信があるのか、赤髪鬼はヒラとそこを跳び出すやいな、荘院の裏門から県の街道を馬で矢のごとくすッ飛んでいった。――時に、陽はゆらゆらと牧場の朝露を離れて高く、木々には百鳥の囀り、遠山には丹霞のたなびきが美しい。これで地に人間の争いがなく、宋朝の政に腐爛さえなければ、この世はそっくり天国なのだが。