Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほほう。賄賂止めの禁札があるな。よいよい、禁札破り致すのも江戸への土産になって面白かろうぞ。駕籠屋! 帰りのお客は珠数屋のお大尽様じゃ。たんまり酒手をねだるよう、楽しみに致して待っていろよ」

一向に恐るる色もなく、その上なおどういう理由を以てか、容易ならぬその制札を至ってあっさり賄賂止めと言ってのけながら、珠数屋の大尽も亦すでにもう奪い返したごとき朗かさで、お供の者達をそこに待たしておくと、のっしのっしと近づきながら、いとも正々堂々と大音声に呼ばわりました。

「物申そうぞ! 物申そうぞ! 直参旗本早乙女主水之介、当所司代殿に火急の用向きあって罷り越した。開門せいッ。開門せいッ」

と同時でした。窺うような足音と共に、そこの物見窓から、ぬッと顔をのぞかせたのは、まさしく先程うろたえながら抜け駈けしていった、あの役侍達二人です。否、のぞいたばかりではない。今ぞ初めてあかした直参旗本のその身分素姓に、二人はしたたかぎょッとなったらしく、二重の狼狽を見せると、それだけにまたこの恐るべき退屈男に堂々と乗り込まれては一大事と見えて、威勢を張りながら必死にはねつけました。