Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「知らぬ、知らぬ、一向に見かけぬぞ」

「弱ったことになったな。すられる程ぼんやりしちゃいねえんだから、宿へでも置き忘れたのかしら――。いえ、どうもおやかましゅうござんした」

行き過ぎるや同時に、退屈男の双のまなこは、キラリ冴え渡りました。ひとりばかりか三人迄も同じ難に会うとは許し難い。

「よほどの凄腕と見ゆるな」

「ええもう、凄腕も凄腕も、この三月ばかりの間に三四十人はやられたんでしょうがね、只の一度も正体はおろか、しッぽも出さねえですよ」

「根じろはどこにあるか存ぜぬか」

「それがさっぱり分らねえんです。お山に巣喰っていると言う者があったり、いいやそうじゃねえ、南部の郷にうろうろしているんだと言う者があったりしていろいろなんだがね、どっちにしてもあッしゃさっきの娘が臭せえと思うんですよ。――きっとあの手でやられたんだ、おいらにさっき道をきいたあの伝でね、袂をくねくねさせながら恥ずかしそうに近よって来るんで、ぼうッとなっているまにスラれちまったんですよ。――それにしても姿の見えねえっていうのは奇態だね、どこへずらかッちまったんだろうな。なにしろ、この霧だからね」