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Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

あまつさえ、城下の町々は物情騒然としているのでした。その上に何のためにか何の目的あってか、見えつ隠れつ次第に数を増して、それも血気ざかりの屈強そうな若侍達ばかりが、行く方動く方へと尾行するのです。だが、退屈男は実に不敵でした。刻一刻に高まる殺気を却って楽しむかのように、ふらりふらりと帰っていったのは宿の千種屋――。

ふと見るとその辺にも、夕陽の散り敷く町角の彼方此方に七八人の影がちらと動きました。

「ほほう、大分御念入りな御見張りじゃな。この分ならば、あの触れ看板にも二三匹何ぞ大物がかかっているやも知れぬ。――亭主! 亭主! いや番頭!」

ずいと這入った出合い頭――、不気味ににっこり笑って奥から姿を見せたのは、いつのまに帰って来たのか前夜のあの謎を秘めた若者です。

「御かえりなさいまし。御遊行でござりましたか」

「遊行なぞと気取った事を申しおるな。番頭風情が心得おる言葉ではなかろうぞ。そちこそゆうべからいずれを泳ぎおった」

「恐れ入ります。えへへへへへ。ちと粋すじな向きでござりましてな。殿様も大分御退屈のようでござりまするな」

「退屈なら何といたした。身共にもゆうべのその粋筋な向きとやらを、一人二人世話すると申すか」