Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
三
矢は各十本。
的は五寸。
落ちかかった夕陽が赤々と土壇のあたりに散り敷いて、心気もまたしんしんと澄み渡り、まことに競射にはこの上もなくお誂えの夕まぐれです。
最初にキリキリと引きしぼったのは、あの隊長らしい藩士でした。
三
「当り一本!」
スポッと冴え渡った音と共に、高々と呼び立てる声が揚がりました。
「当り二本!」
つづいて三本。
つづいて四本。
さすがは奥地第一の雄藩に禄を喰む若侍だけあって、どうやらこの道の相当強の者らしいのです。と見えたのはしかし四本目までのことでした。五本、六本、七本目とつづいて三本は途方もないところへ逸れ飛んで、八本目にようやく的中、九本目十本目は、弓勢弱ったか、へなへなと地を這いながら、的下二尺あたりのところへ果敢無いむくろを曝しました。
入れ代って現れたのは片目の藩士です。しかし、これが射当てたのは四本でした。
「御腑甲斐のない。然らば拙者が見事にあの飾り太刀せしめてお目にかけようよ」
引き出物の景品にそそのかされでもしたかのごとく、三人目が飛び出して引きしぼったが、的中したのは同じ四本です。
「今度は手前じゃ」
「いや、拙者が早いよ。