Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
それとも参らばこの傷じゃ。幸いの夕啼き時刻、江戸で鳴らしたこの三日月傷が鼠呼きして飛んで参るぞッ」
「申すなッ、申すなッ。広言申すなッ。陪臣呼ばわりが片腹痛いわッ。われらは捕って押えるが役目じゃッ。申し開きはあとにせいッ。それッ各々! 御かかり召されッ」
下知と共に笑止や仙台藩士、わが退屈旗本早乙女主水之介を飽くまでも隠密と疑い信じて、今ぞ重なる秘密と謎を割りながら、さッと競いかかりました。しかし笑止ながらもその陣立て陣形はさすがに見事、兵家のいわゆる黒白構え、半刀半手の搦め捕りという奴です。即ち、その半数を抜いて払って半数は無手の居捕り、左右にパッと分れながら、じりじりと詰めよりました。
だのに、今なお気味わるく不審なのはあの矢場主英膳です。敵か味方か、味方か敵か、おのが道場に今や血の雨が降らんとするのに、一向おどろいた気色も見せず、何がうれしいのかにやりにやりと薄笑っているのでした。否! それよりも不気味な位に自若としていたのは退屈男です。
「ウフフフ。黒白構えか。なかなか味な戦法よ喃。何人じゃ。ひと、ふた、みい……、ほほう、こちらに抜き身が十人、挙捕りは十一匹か。