Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
婆をひとりつけまして送り届けましたところ、ほんの近くまでちょいと用達しにいったそのすきに、もう姿が見えなくなったのでござります」
「ほほうのう。源七との仲はどうぞ! 客であったか。それとも通うたことさえなかったか」
「いえその、実は何でござります。親の六兵衛どんを前にして言いにくいことでござりまするが、両方共にぞっこんという仲でござりましてな、あれこそ本当の真夫――曲輪雀共もこのように申していた位でござります。誰袖源七何じゃいな、あれは曲輪の重ね餅、指を咥えてエエくやしい、とこんなに言い囃している位の仲でござりますゆえ、今も六兵衛どんにそれとなく聞き質して見たのでござりまするが、それ程の深い仲なら添わせてやらないものでもなかったのに、生きておるやら死んだやら、これがまことの二人ならば、比翼塚でも建てましょうにと、しんみり承わっていたところでござります」
不思議です。謎も疑問もその一つでした。あれは曲輪の重ね餅とまでうらやましがられていた二人の仲を何者か憎んで、何か容易ならぬ企らみでもやったか、それとも本人同士が親の六兵衛に叱責されるのを恐れて、表面心中した風に見せかけながら、実はどこぞに隠れてこっそり添いとげているのか、いずれにしても謎は人違いのこの死体です。