Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「身共の事じゃと申すか!」

「そうでござんす! そうなんでごぜえます! 対手はとにもかくにも城持ち大名、これを向うに廻して、ひと睨みに睨みの利くのは傷のお殿様より他にはあるまいと、二人が二人、同じように考え当って、源七どんは出入りの按摩に、誰袖花魁は小間物屋の若い衆に、こっそりとお使いを頼み込んだというんですがね。気に入らねえのは使いに立ったその二人ですよ。しかじか斯々でごぜえますからと早く言えばいいものを、お殿様程の分った御前を、怕いの恐ろしいのと思い違えて逃げ帰ったのがこんな騒ぎのもととなったんでごぜえます」

「不埓者めがッ。傷がむずむずと鳴いて参った! 京弥! 千二百石直参旗本の格式通り供揃いせい!」

颯爽たる声でした。すっくと立ち上がって、手馴れの平安城相模守をたばさむと、駕籠は塗り駕籠、奴合羽に着替えさせた鳶の七五郎達四人を供に、京弥召し随えて直ちに行き向ったところは、赤坂溜池際の遠藤屋敷です。

四

乗りつけたのは、とっぷり暮れた六ツ下がりでした。

「京弥、つづけッ」

すべてが只颯爽、小気味がいい位です。ずいずいと式台にかかると、

「早乙女主水之介、眉間傷御披露に罷り越した、通って参るぞ。