Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
――ウフフ。京弥、下賤の色恋にまなこ眩んでいるお大名方には、この三日月形、利きがわるいと見えるわい。では、負けて帰るかのう。急いで参れよ」
ガラリと、俄かの変り方でした。ウフフと不気味に笑って、さっさと引き揚げて行くと、――帰る筈がない! 主水之介程の男が、そのまま引き揚げて行く筈はないのです。
門を出ると同時に、ぴたりとそこの物蔭に姿をかくすと、京弥を初め七五郎達四人に鋭く命じました。
「あれじゃ、あの手じゃ。篠崎流の兵法用いて、アッと言わしてやろうぞ。手分け致して早う門を見張れッ」
「何を見張るのでござります」
「知れたこと、主計頭とて二万四千石は惜しい筈じゃ。じきじきに将軍家へ言上しょうと威したからには、お吟味屋敷改めされるを惧れ、慌てふためいて今のうちに誰袖達をどこぞへ運び去って、隠し替えるに相違ないわ。それを押えるのじゃ。門を見張って、運び出したところを、そっくりそのまま頂戴するのよ。身共はこの正門受持とうぞ。そち達も手分けして三方を固めい」
「心得ました。そうと決まりますれば、京弥、北口不浄門を見張りましょうゆえ、七五郎どの新吉どの両人は東口を、東五郎どの長次どの御両人は西口を御見張り召されよ。