Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
切腹ですむなら先ず安いものよ。寄るぞ。寄るぞ。心配いたすと折角の顔に皺がよる。そちたちも膝枕の工合、とくと見物した筈じゃ。やりたくば屋敷へかえって稽古せい」
「なにを笑談仰せでござります! いつものお対手とは対手が違いまするぞ! かりにも将軍家、もしもの事がありましたならば――」
「………」
「御前!」
「………」
「お兄様!」
「………」
「殿!」
いち途の不安に京弥たちふたりはおろおろして左右からつめよったが、しかし主水之介はもう高枕です。屋敷へかえりつくと、ゆうべの膝枕を楽しみでもするかのようにそのまま横になって、かろやかな鼾すらも立て初めました。
「飛んだことになりましたな……。さき程番町の屋敷へ訪れたときの容子、案内していきましたときの容子、お紋の方様が治右衛門めの娘とあっては、まさしく腰本が仕組んだ企らみに相違ござりませぬ。主人は只今火急の用向にて登城中と申したが気がかり、今になにか御城中から恐ろしいお使者が参るに相違ござりませぬぞ」
「な! ……。それにしてはお兄様の憎らしいこのお姿。こんなに御案じ申しあげておりますのに、すやすやとお休み遊ばして何のことでござりましょう。