Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
一揆の相談するとは不埓な百姓共じゃと怒鳴り散らして、三十人ばかりの一隊が捕って押えに参りましたぞッ」
「なにッ――」
老神官正守は言うまでもないこと、退屈男も期せずして愕然と色めき立ちながら、同時に突ッ立ちあがりました。――だが、事に当って泰然自若、つねに思慮分別沈着を失わないのが主水之介のほめていいところです。――押ッ取り刀で今二人が飛び出せば、農民共は気勢を揚げて、争いを大きくするに違いない。大きくすれば味方に怪我人の出るのは言うまでもないこと、捕り手のうちにも殺戮される者が出るに違いない。事、ひとたび流血沙汰に及んだとすれば、農民達にいか程正義正当の理由があったにしても、士農工商、階級の相違、権力の相違が片手落ちならぬ片手落ちの裁きをうけて、結局悲しい処罰をうけねばならぬ者は、正しいその農民達なのです。――途は一つ! 只一つ! 事を荒立てないで、怪我人も出さず、科人も作らず、未然にすべてを防ぐ手段を講ずる以外には何ものもないのです。しかも事実は、談合協議こそしていたが、まだ一揆の行動に移ったわけではないのでした。いかにすべきか? ――考えているその目のうちに、はしなくもちらりと映ったものは、床の間に掛けてあるあの一軸です。