Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
お色つやもずっとよろしくおなり遊ばしましたな」
「うんうん。旅に出ると干物なぞが頂けて食べ物がよろしいのでな。そちも半年見ぬまにずんと美しゅうなったのう」
「もうそのような御笑談ばかり。――あの、それより、あの方も、あの、あのお方も御一緒にお越しなさりました」
「誰じゃ。書面にはそちひとりに参れと書いてやった筈じゃが、あの方とは誰ぞよ」
「でもあの……、いいえ、あの、あの方でござります。京さまでござります。京弥さまでござります」
「なに? ――いずれにおるぞ?」
「その駕籠の向うに……」
ひょいと見ると、恥ずかしそうにうつむきながら、駕籠の向うにかくれていたのは、まさしく妹菊路の思い人霧島京弥です。
「わッははは、そちもか。もッと出い。こッちへ出い。恥ずかしがって何のことじゃ。ウフフ、あはは。のう京弥、諺にもある。女子の毛一筋は、よく大象をもつなぐとな。わはは。そちも菊に曳かれて日光詣りと洒落おったな」
「いえ、あの、そのようなことで手前、お伴をしたのではござりませぬ。長い道中を菊どのおひとりでは何かとお心もとなかろうと存じましたゆえ、御警固かたがたお伴をしたのでござります」