Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

四

在職中の配下手先なぞもあろうゆえ、その者共を出来るだけ大勢使って、旗本退屈男の早乙女主水之介は、今朝よそから到来の鯛を食して、敢なく毒殺された、とこのように江戸中へ触れ歩かせい」

「奇態な御諚でござりまするが、それはまた何の為でござります」

「知れたこと。さすれば身共が死んだことと思うて、百化け十吉めが安心いたして、また江戸の市中に出没いたし、魔の手を伸ばすに相違ないゆえ、そこを目にかかり次第引ッ捕えるのじゃ」

「いかさまよい工夫にござります。では、すぐさま手配をいたしまして、のち程またお屋敷の方へ参じますゆえ、お待ち下されませ」

先刻京弥から見舞われた太股の疵の痛みを物ともしないで、欣舞しながら非人姿の杉浦権之兵衛が立去りましたので、主水之介もまた直ちに駕籠を屋敷へ引き返させました。

四

やがてのことにしっとりと花曇りの日は暮れて、ひたひたと押し迫って来たものは、一刻千金と折紙のつけられているあの春の宵です。その宵の六ツ半頃――。

「御前……」

先程の非人姿だった杉浦権之兵衛が、いつのまにか小ざっぱりとした姿に変りながら、甲斐々々しく復命に立ちかえって来たので、退屈男も様子いかにときき尋ねました。