Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
」そう男がいって子供を抱く時のように両手を出して一度振るとひょろひょろとした。
母は微笑(わら)って「え、大きに。」といった。
「さア、早ようやなけりゃ駄目(いけ)まへんぜ。」
「この子がいますで後ほどまたおよばれしますわ。」と母はいった。
「何アに、米(よね)さんは一人寝せときゃええさ、なア米さん、独人(ひと)り寝てるわのう。」と男は顔を少し突き出した。
子は男から顔をそむけて黙って母の顔を見上げた。
「お前ひとり寝てる?」と母は訊(き)いた。
子は顔を横に振った。
「あんなにいうておくれはるのやで、お前ひとり寝てな、え、直(じ)きにお母さんが帰って来るで。」
「好(え)えさ好えさ、赤子(あかご)じゃあるまいし。」そういうと男は「どっこいしょ。」と背後へ反(そ)り返(かえ)った。母は子の頭を膝から起して「待っておい。」といって笑いながら縁側の方へ立った。そして「下駄(げた)がないわ。」と呟いた。
「下駄のような物入(い)るものか。」
と男はいうと彼女の手首を掴(つか)まえて背を向けると両手で彼女の足を抱いて歩き出した。母は男の背の上で「険(あぶな)い険い。