Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
二十五
貞淑な王妃を除いた他の殉死者の悲痛な叫喚は、終日終夜、秋風のままに宮のうえを吹き流れた。そうして、次第に彼らの叫喚が弱まると一緒に、その下の耶馬台の宮では、着々として戦の準備が整うていった。先ず兵士たちは周囲の森から野牛の群れを狩り集めることを命ぜられると、次に数千の投げ槍と楯と矢とを造るかたわら、弓材となる梓や檀を弓矯に懸けねばならなかった。反絵は日々兵士たちの間を馳け廻っていた。しかし、彼の卑弥呼を得んとする慾望はますます彼を焦燥せしめ、それに従い彼の狂暴も日に日にその度を強めていった。彼は戦々兢々として馳け違いながら立ち働く兵士たちの間から、暇ある度に卑弥呼の部屋へ戻って来た。彼は彼女に迫って訴えた。しかし、卑弥呼の手には絶えず抜かれた一本の剣が握られていた。そうして、彼女の答えは定っていた。
「待て、奴国の滅びたのは今ではない。」
反絵はその度に無言のまま戸外へ馳け出すと、必ず彼の剣は一人の兵士を傷つけた。
二十五
奴国の宮では、長羅は卑弥呼を失って以来、一つの部屋に横たわったまま起きなかった。彼は彼女を探索に出かけた兵士たちの帰りを待った。