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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて贄殿の内外は、兵士たちの鉾尖のために明るくなった。

「奴国の者は何処へ行った。」

「奴国の者を外へ出せ。」

贄殿の入口は動乱する兵士たちの肩口で押し破られた。そのとき、彼らの間を分けて、一人卑弥呼が進んで来た。兵士たちは争って彼女の前に道を開いた。彼女は贄殿の中へ這入ると、使部たちの剣に包まれた若者の姿を眼にとめた。

「待て、彼は道に迷いし旅の者。」

「彼は奴国の王子である。」

「彼は我の伴ないし者。」

「彼の祖父は不弥の王母を掠奪した。」

「剣を下げよ。」

「彼の父は不弥の神庫に火を放った。」

卑弥呼は使部たちの剣の下を通って若者の傍に出た。

「我は爾に食を与えた。爾は爾の国へ直ちに帰れ。」

若者は踏み敷いた宿禰を捨てて剣を投げた。そうして、卑弥呼の前に跪拝くと、彼は崩れた角髪の下から眼を光らせて彼女にいった。

「姫よ、我を爾の傍におけ、我は爾の下僕になろう。」

「爾は帰れ。」

「姫よ、我は爾に我の骨を捧げよう。」

「去れ。」

「姫よ。」

「彼を出せ。」

使部たちは剣を下げて若者の腕を握った。そうして、彼を戸外の月の光りの下へ引き出すと、若者は彼らを突き伏せて再び贄殿の中へ馳け込んだ。