Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
」
「私(うち)おりかに二銭丸(にせんだま)を綿で包んで臍の上へ載せて置けっていうといたんやが、まだしてたやろな?」
「ちっとも見ない。」
「そおか。う――んと気張ると、お前の胃みたいにごぼごぼお臍が鳴るのや。お前胃はもうちょっと良うなったかいな?」
彼は足を洗ってしまったのに、まだ上(あが)り框(かまち)に腰を下したまま盥の水を眺めていた。暫(しばら)くして、
「死にゃせぬかしら。」とまたいった。
「どうや知らぬわさ。お前髪をシュウッととき付けたらええのに、痩(や)せて見えて。」
母はちょっと眉を寄せてそういうと盥の水を捨てに裏の方へ行った。
彼は気が沈みそうになると、
「くそッ死ね!」といって一度背後へひっくり返ってから勢好く立ち上った。
七
幸子の臍はその後だんだん堅まっていった。初め彼の見た時には、腹部を漸く包んだ皮膚の端を大きくひねって無雑作(むぞうさ)にまるめ込んだだけのように見えた。そして、彼女が泣く時臍は急に飛び出て腹全体が臍を頭としたヘルメットのような形になってごぼごぼ音を立てた。それはいつ内部の臓(はらわた)が露出せぬとも限らぬ極めて不安心な臍だった。