Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
男の子は硝子(ガラス)の破片でレールの錆(さび)を落しながら暫く黙っていてから、
「いやや。」とまたいった。
彼は男の子を黙って見詰めていた。すると、
「お母アが乳で殺さはったんや。」とその子はいった。
「乳でってどうしてだ?」
「あのな、昼寝してて殺さはったんや。」
彼には全く何のことだか解らなかったので子供の顔を見続けていた。男の子は何(な)ぜだか眩(まぶ)しそうな顔をしてちょっと彼を見上げると、急に向うの方へ馳け出した。
暫くして彼は、男の子の母親が赤子に添い寝をしていて乳房(ちぶさ)で鼻孔(びこう)を閉塞(へいそく)させたのだと近所の人から教わった。そんな殺し方は彼には初耳だった。が、なるほどと思った。それから急に彼は姉の乳房が気になり出した。
次の日彼は姉の家へ出かけて行くと直ぐそのことを話した。
「そりゃ死ぬわさ。ようあることや。」と姉はいった。
「知ってたのか。」
「そんなこと知らんでどうする、末っちゃんは私(あて)を子供見たいに思うてるのやな。何んでも知ってるえ私(うち)ら。」
そういって姉は笑った。彼は少し安心が出来た。が、その直ぐ後で姉は、幸子と三日違いに生れた隣家の赤子が三日前に肺炎で亡くなったということや、久吉の友人の赤子も今肺炎にかかっていてもう医者に手を放されたということを