Japanische Klassiker mit Furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme
十四
忽ち窪地の底で抱き合う二人の背の上へ、鹿の塊りがひき続いて落ち込むと、間もなく、雑然として盛り上った彼らは、突き合い蹴り合いつつ次第に静に死んでいった。そうして、彼らの傷口から迸る血潮は、石垣の隙間を漏れる泉のように滾々として流れ始めると、二人の体を染めながら、窪地の底の蘚苔の中まで滲み込んでいった。
十四
訶和郎と卑弥呼を包んだ兵士たちは、君長に率いられて、遠巻きに鹿の群れを巻き包んで来た耶馬台の国の兵士であった。彼らは小山の頂上で狂乱する鹿の群れの鎮るのを見ると、松明の持ち手の後から頂きへ馳け登った。明るく輝き出した頂は、散乱した動かぬ鹿の野原であった。やがて、兵士たちは松明の周囲へ尽く集って来ると、それぞれ一疋の鹿を引き摺って再び山の麓の方へ降りていった。その時、頂上の窪地の傍で群った一団の兵士たちが、血に染った訶和郎と卑弥呼を包んで喧騒した。二人を見られぬ人たちは、遠く人垣の外で口々にいい合った。
「鹿の中から美女と美男が湧いて出た。」
「赤い美女が鹿の腹から湧いて出た。」
「鹿の美女は人間の美女よりも美しい。」
やがて、兵士たちの集団は、訶和郎と卑弥呼を包んだまま、彼らの君長の反耶の方へ進んでいった。