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Japanische Klassiker mit Furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lesen Sie 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.787 Zeichen · 177 Bildschirme

Aozora Bunko

こうして、兵部の宿禰の娘は死んだ。彼女は舌を咬み切って自殺した。しかし、横たわっている長羅の身体は身動きもしなかった。

香取の死の原因を知らなかった奴国の宮の人々は、一斉に彼女の行為を賞讃した。そうして、長羅を戴く奴国の乙女たちは、奴国の女の名誉のために、不弥の女から王子の心を奪い返せと叫び始めた。第四の乙女が香取の次ぎに選ばれて再び立った。人々は斉しく彼女の美しさの効果の上に注目した。すると、俄然として彼女は香取のように自殺した。何ぜなら香取を賞讃した人々の言葉は、あまりに荘厳であったから。しかし、また第五の乙女が宿禰のために選ばれた。人々の彼女に注目する仕方は変って来た。けれども、彼女の運命も第四の乙女のそれと等しく不吉な慣例を造らなければならないのは当然のことであった。こうして、奴国の宮からは日々に美しい乙女が減りそうになって来た。娘を持った奴国の宮の母親たちは急に己の娘の美しい装いをはぎとって、農衣に着せ変えると、宿禰の眼から家の奥深くへ隠し始めた。しかし宿禰はひとり、ますます憂慮に顰んだ暗鬱な顔をして、その眼を光らせながら宮の隅々をさ迷うていた。