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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

八五郎はこんなに胆を潰したことはありません。

「大丈夫だ、お夢はあの時に懲りて、グッと床を向うの方に移して居る。それに火も鉄瓶もないから、せいぜい灰を被るくらいのものだ」

「じゃ、やりますよ」、

それは唐銅の大火鉢で、なかなか重いものでした。その上に鉄瓶が掛って居たら、なるほどお鈴の細腕では、手摺の下を潜らせて階下へ落す事などは出来そうもありません。

「アッ」

火鉢は手摺と幕を潜って、恐しい勢いで階下へ突き落されました。濛々とあがる灰吹雪の中に、凄まじい悲鳴。

「それッ」

平次と八五郎が梯子へ廻って階下を覗くと、身動きも出来ない筈の一と目千両のお夢は、猫の子のように素早く飛び起きて、灰吹雪を掻きわけるように、雨戸を突き飛ばして裏の空地へ真に飛鳥の如く飛び出して居たのです。

「お夢、お前はもう傷が癒ったのか」

平次はその頭の上から冷たい声を浴びせました。

「――――」

ハッと二階を振り仰いだお夢の顔は、実に想像も及ばぬ凄まじいものだったのです。

「お夢、お前は間違っていたぞ。お前の頭へ火鉢を落したのは、お鈴ではなくて、六助だった。――六助はお前を怨んでいた。怨むにはわけのあることだろう。