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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

「親分、世の中に怪談というものはあるでしょうか」

八五郎はまた、途方もないことを持込んでくるのです。五月も過ぎたある日、青葉によし、初鰹によし、そして時鳥によしという結構な日をぼんやり籠っていると、ときどきはこんな災難にも逢わなければならぬ平次です。

「ケエダン――それはなんだい、まだ食べたことはないが――」

「怪談ですよ、心細いな、こいつは食べるものじゃありません、それ、よく言うでしょう、猫が化けたとか、鼬が屁を垂れたとか」

「それは怪談だろう、着前に言わせると、ケエダンになるから埒が明かないのさ、――世の中のことは順当すぎるよ、借りたものは返さなきゃならないし、家賃は毎月払わなきゃならずとね、――少しは怪談が付き纏っても宜いが、広い江戸にただで住める家はないものかね」

「親分が世帯染みるのは、晦日が近いからだ。頼むからしっかりして下さいよ、まだ二十六日ですよ」

「ところで、その怪談というのはどこにあるんだ」

平次はようやく居住いを直しました。八五郎が持って来た話というのは、妙に心を惹きます。

「左内坂ですよ、早く言えば牛込見付、市ガ谷と言っても宜い、――二、三日前、あの辺をのぞくと、怪談でいっぱい」