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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

伊豆屋さんに何か変ったことでも」

平次は誘いの水を向けるように声を掛けました。

「いえ、何んにも変ったことはございませんが、私の腑に落ちないことを、親分さんにお訊ねしたいと思いまして、父様にも内証で、出入りの若い衆に頼んで、送って貰いました」

ピタリと膝に手をおいて、静かに仰ぐ浅黒い顔は、刻みがはっきりして、唇の線の美しさも、睫毛の長い眼も非凡ですが、およそ十九の娘とは思われぬ、確りしたものを持っているのです。

「どんなことが変だと思いました。お嬢さん」

平次は八五郎のモヤモヤするのを縁側に追い退けて娘と二人相対しました。

「伊豆屋の総領、菊次郎さんが水死したことは、御存じでしょうね」

「それは今しがた八五郎から聞きました」

「その水死した菊次郎さんは、隅田川に夜中に舟を出して溺れた様子ですが、菊次郎さんは、よく舟が漕げなかったのです」

「?」

「そのうえ、両国の水除けに引掛った死骸の首に、紫色になった大きな打撲がありましたが、それは首の急所で、打ってはならないところです。そのうえ、橋場で舟から落ちて、両国まで流れるうち、泳ぎを知らない菊次郎さんは、生きている筈もなく、両国へ行ったときは、息が絶えている筈でございます」