Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme
「変な坊主が居ますよ、親分」
八五郎は柳の下の、小汚ない乞食坊主を指さしました。
「土手の道哲の真似事さ――日本堤は昔から乞食坊主の多いところだよ」
平次は懐中を捜して青銭を二三枚掴み出すと、乞食坊主の鉄鉢の中に入れてやりました。
「南無、南無、南無」
乞食坊主は何やら口の中でブツブツ言って居ります。五十前後、或は六十近いかも知れません。何を食べて生きて居るかわかりませんが、骨と皮ばかりの青黒く乾からびた身体を、羊羹色になった破れ御衣に包んで、髯だらけの顔、虫喰い頭、陽に焦けて思いおくところなく真っ黒になった顔を少し阿呆たらしく挙げて、意味もない念仏やらお経やらを、ブツブツつぶやくと言った世にも情けない存在です。
心も空に、吉原へ飛んで行く遊冶郎の中に、たまたま諸行無常とか、色即是空とか言った後生気を出して、此乞食坊主の鉄鉢に、小銭を投り込んで行く人間も、稀にはあることでしょう。
「少し訊き度いことがあるんだがな」
「ヘエ」
自分の前にしゃがんだ、大枚十二文の大檀那の顔を、乞食坊主の鑑哲は、腑に落ちない顔で、ぼんやり見上げるのです。
「近頃此土手で、変なことがあるそうだが、お前は知って居るだろうな」