Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Lesen Sie 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.573 Zeichen · 178 Bildschirme
「親分は?」
「明神下の家で待っているよ。尤もその前に、もういちど伊豆屋へ行って、下男の元吉を脅かして見るが」
「ヘエ?」
八五郎は何が何やら、わけもわからずに本所へ廻り、平次はもういちど橋場の渡しを越して、伊豆屋に引返しました。
伊豆屋は葬いを出したばかり、菊次郎の弟の徳三郎は、お寺へ行って留守、主人は奥へ籠ったまま、平次は下男の元吉を呼んで、裏口に引張り出しました。
「元吉、もうわかったよ」
「ヘエ?」
元吉のけげんな顔は見事でした。
「お前はいくら貰った?」
「何を仰しゃるんです、親分?」
「明日は五百両という小判を捜してやる、お前はその手伝いをするんだ。今日一日、どこへも出ちゃならねえよ」
「ヘエ」
何が何やらわからぬ様子の元吉を後に残して、平次は真っすぐに明神下に引揚げました。
八五郎が原の郷から帰ったのはその夕方。
「親分、何も彼もよくわかりましたよ。あのお銀という女の背中の灸の痕まで」
「そんなことはどうでも宜い」
「あれは潮来生れで、人魚のお銀と言われた大変な女ですよ」
「何が大変なんだ」
「泳ぎの名人で――尤も手は恐ろしく柔かいから、舟は漕げませんね」
「お前も飛んだところへ気がつく、――よしよし、それでわかった。