Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
もはや聞くまでもない、どこかこの近所に大渦巻があるに違いないのであった。しかもその渦巻たるや、この潮流の中でありながら、数十海里を距ててなおその怒号というか、叫喚というかが聞こえていたのであった。そしてこのドス黒い浪の逆巻きといい、あのくるくる舞っている巨大な鋼鉄の錨鎖といい、我々のかつて教わったこともなければ、聞いたこともない、世界に稀有の大渦巻が起っているに違いないのであった。
幅員数十海里か数百海里にわたり、深さ地軸に達せんばかり、数千尋に及ぶ世界最大最深の大渦巻が!
「ワイ……ゲル……ト……君」轟音の中に掻き消えて、ルドウィッヒ大尉の唇は耳に付けられながらも、断続して聞こえてくるのであった。
「いよいよ……死だぞう……覚悟しておけ……よ」
ビューッ! と烈風が鳴りはためいて、頤紐を掛けた大尉の顔が、帽子の中で蒼白く微笑んだと思った途端、自分も大尉も、その場に薙ぎ倒されて、夢中で欄干にしがみついた。山のような大波に攫われて、艦が烈しく傾斜して、浪頭が眼前に散らついた。艦がギイギイと急転回して、今こそ渦巻の中へ捲き込まれたかと思わず瞼を閉じずにはいられなかったのであった。