Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆしまもうで

湯島詣

泉 鏡花

Lesen Sie 湯島詣 (ゆしまもうで) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.004 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

八

「源じゃあねえか、おい、源坊。」

「誰だい、」と思入のある身振で、源次郎は振返る。

「俺だ。」

「や、」

「待ちねえ。」

つかつかと近いた、三尺帯を尻下りに結んで、両提の莨入をぶらりと、坊主天窓の親仁が一名。

「頭。」

「おい、」と重く落着いて一ツ頷いた。これは下谷西黒門町に住んで、頭、頭と立てらるる、辰何とか言うのであろう。本名は誰も知らない、何をして暮すのか、ただ遊んで、どことも謂わず一群一群入り込む侠な壮佼に、時々木遣を教えている。

頭は膨らんだ源のその懐をじろりと見て、

「何だ、それは、」

「ええ、」

「下駄じゃあねえか、下駄じゃあねえか、串戯じゃあねえ、何を面啖ったか知らねえが、そいつを懐に入れるだけの隙が有りゃ、敵の向脛をかッぱらって遁げるゆとりはありそうなもんだぜ。何だい、出会したなあ、犬か、人間か。」

「喧嘩じゃあないんです。」

「辻斬か。」

「冗談をいっちゃあ可けません。」

頭はわざとらしく呵々と笑って、

「じゃあ、どうしたんだ。」といったが、思う処あるらしく、房りしたその眉を顰めた。

八

源次は何の気も付かない様子で、

「仔細はないんです、喧嘩なんて何も決してそんな訳じゃあないんだけれどね、」