Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆしまもうで

湯島詣

泉 鏡花

Lesen Sie 湯島詣 (ゆしまもうで) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.004 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

三十八

」

勝手から女中の声で、

「はあ、」

「ねえ、おい、富ちゃん。」

次の部屋の真中で、盆に向って、飯鉢と茶の土瓶を引寄せて、此方の灯を頼りにして、幼子が独り飯食う秋の暮、という形で、掻っ込んでいた、哀な雛妓が、

「ええ、」と答えてがッくりと飲む。

「確かい。」

「きっとでございますって。」

「占めた!」という時からからと戸が開いた。

円輔は振返って、

「や、御帰館!」と喚いて、座を開いて、くるりと向く。

源次はぬうと首を伸ばして、

「誰だい、」

「蝶吉姐さんだよ、誰だたあ何のこッた。」

「そう、」といって源次は猫を落して坐り直った。

蝶吉は何か悄然として帰って来たが、髪も乱れて、顔の色も茫然している。前垂懸で繻子の帯、唐桟の半纏を着た平生の服装で、引詰めた銀杏返、年紀も老けて見え、頬も痩せて見えたが、もの淋しそうに入って脇目も触らず、あたりの人には目も懸けないで、二階へ澄して上ろうとするのを、円輔が瞶めて、ちっと当ての違ったという形で、変に生真面目に、

「お帰んなさい。」

「唯今、」と言ったばかり、つんとしてトン、トン、トン。

三十八

「御機嫌麗わしからずじゃあないか。顔色が可恐しく悪いぜ、花札が走ったと見える、御馳走はお流れか、」