Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「ひとりは、海へ逃げこまれてしまいました」

「小人数だ、やむを得まい。それは誰だ」

「下男みたいな野郎」

「ははあ、唖聾だな。――して、もうひとりの、掏摸の新七は」

「あいつはうまく行きました」

「召捕ったか」

「いえ、殺してしまったんで」

「なに、殺した」

「死骸はそのまま突き流してしまいました。今ごろは、鱶の腹ン中で、あぐらをくんでいるかもしれません」

「それは惜しいことをしたなあ。……アア残念なことをした」

「どうしてですか」

「生かして引ッ吊して来れば、泥を吐かせる手段もある。後日になっても、唯一の生き証拠となったものを」

「あ、成程。……ですが、その生き証拠には、女の方を、ふん縛って、連れて参りましたから、これでどうか、埋めあわせをつけて下さいまし」

「えっ」

と、老先生の耳は、若者のように、ぽっと紅くなって、

「ゆうべ、わしが捕り逃がしたあの妖婦を、おまえ達の手で、捕えて来たと申すか」

「どうです、老先生、こいつあ、褒めていただく値打があるでございましょう」

「ある! ある! イヤでかしたぞ舟辰。事件の解決いたしたうえは、きっと、充分に褒美をとらせる」

「なに、あっしは、そんなものを目あてに、した仕事ではありません」