Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
一
一
硝子戸の中から外を見渡すと、霜除をした芭蕉だの、赤い実の結った梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが、その他にこれと云って数え立てるほどのものはほとんど視線に入って来ない。書斎にいる私の眼界は極めて単調でそうしてまた極めて狭いのである。
その上私は去年の暮から風邪を引いてほとんど表へ出ずに、毎日この硝子戸の中にばかり坐っているので、世間の様子はちっとも分らない。心持が悪いから読書もあまりしない。私はただ坐ったり寝たりしてその日その日を送っているだけである。
しかし私の頭は時々動く。気分も多少は変る。いくら狭い世界の中でも狭いなりに事件が起って来る。それから小さい私と広い世の中とを隔離しているこの硝子戸の中へ、時々人が入って来る。それがまた私にとっては思いがけない人で、私の思いがけない事を云ったり為たりする。私は興味に充ちた眼をもってそれらの人を迎えたり送ったりした事さえある。
私はそんなものを少し書きつづけて見ようかと思う。私はそうした種類の文字が、忙がしい人の眼に、どれほどつまらなく映るだろうかと懸念している。私は電車の中でポッケットから新聞を出して、大きな活字だけに眼を注いでいる購読者の前に、私の書くような閑散な文字を列べて紙面をうずめて見せるのを恥ずかしいものの一つに考える