Japanische Klassiker mit Furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
十八
それから間もなくでした、死んだのは」
私は帰って硝子戸の中に坐って、まだ死なずにいるものは、自分とあの床屋の亭主だけのような気がした。
十八
私の座敷へ通されたある若い女が、「どうも自分の周囲がきちんと片づかないで困りますが、どうしたら宜しいものでしょう」と聞いた。
この女はある親戚の宅に寄寓しているので、そこが手狭な上に、子供などが蒼蠅いのだろうと思った私の答は、すこぶる簡単であった。
「どこかさっぱりした家を探して下宿でもしたら好いでしょう」
「いえ部屋の事ではないので、頭の中がきちんと片づかないで困るのです」
私は私の誤解を意識すると同時に、女の意味がまた解らなくなった。それでもう少し進んだ説明を彼女に求めた。
「外からは何でも頭の中に入って来ますが、それが心の中心と折合がつかないのです」
「あなたのいう心の中心とはいったいどんなものですか」
「どんなものと云って、真直な直線なのです」
私はこの女の数学に熱心な事を知っていた。けれども心の中心が直線だという意味は無論私に通じなかった。その上中心とははたして何を意味するのか、それもほとんど不可解であった。