Japanische Klassiker mit Furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
三十三
「その金なら取らないよ」
「なぜ」
「なぜでも取らない」
「そうか。しかしつまらないじゃないか、ただ本だけ返すのは。本を返すくらいなら二十五銭も取りたまいな」
私はたまらなくなった。
「本は僕のものだよ。いったん買った以上は僕のものにきまってるじゃないか」
「そりゃそうに違いない。違いないが向の宅でも困ってるんだから」
「だから返すと云ってるじゃないか。だけど僕は金を取る訳がないんだ」
「そんな解らない事を云わずに、まあ取っておきたまいな」
「僕はやるんだよ。僕の本だけども、欲しければやろうというんだよ。やるんだから本だけ持ってったら好いじゃないか」
「そうかそんなら、そうしよう」
喜いちゃんは、とうとう本だけ持って帰った。そうして私は何の意味なしに二十五銭の小遣を取られてしまったのである。
三十三
世の中に住む人間の一人として、私は全く孤立して生存する訳に行かない。自然他と交渉の必要がどこからか起ってくる。時候の挨拶、用談、それからもっと込み入った懸合――これらから脱却する事は、いかに枯淡な生活を送っている私にもむずかしいのである。
私は何でも他のいう事を真に受けて、すべて正面から彼らの言語動作を解釈すべきものだろうか。