Japanische Klassiker mit Furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
三十九
私はそこに立って私を眺めている母に、私の苦しみを話して、どうかして下さいと頼んだ。母はその時微笑しながら、「心配しないでも好いよ。御母さんがいくらでも御金を出して上げるから」と云ってくれた。私は大変嬉しかった。それで安心してまたすやすや寝てしまった。
私はこの出来事が、全部夢なのか、または半分だけ本当なのか、今でも疑っている。しかしどうしても私は実際大きな声を出して母に救を求め、母はまた実際の姿を現わして私に慰藉の言葉を与えてくれたとしか考えられない。そうしてその時の母の服装は、いつも私の眼に映る通り、やはり紺無地の絽の帷子に幅の狭い黒繻子の帯だったのである。
三十九
今日は日曜なので、小供が学校へ行かないから、下女も気を許したものと見えて、いつもより遅く起きたようである。それでも私の床を離れたのは七時十五分過であった。顔を洗ってから、例の通り焼麺麭と牛乳と半熟の鶏卵を食べて、厠に上ろうとすると、あいにく肥取が来ているので、私はしばらく出た事のない裏庭の方へ歩を移した。すると植木屋が物置の中で何か片づけものをしていた。不要の炭俵を重ねた下から威勢の好い火が燃えあがる周囲に、女の子が三人ばかり心持よさそうに煖を取っている様子が私の注意を惹いた。