Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lesen Sie 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.583 Zeichen · 149 Bildschirme
「――和蘭人形を⁉」
千草の顔色がさっと変わった。
「老女の小倉にいって、今朝から捜させているところだけれど、あんな満里が大切にしていたのを知りながら取って行くなんて、女中たちの中にもひどい者があるんだわ」
「でもお姫さま、もしやお納いどころを間違えていらっしゃるのではございませんでしょうか、お姫さまの大切なお人形を取るなんて、そんな不心得な者は決していないはずですわ」
「千草には分からないのね、でもそれは仕方のない事だわ、千草は親切な兄やよい母があるのだもの……満里には母上もなし」
いいかけて、姫は肩を震わせながらそっと顔を蔽った、――山百合の花が雨にうたれているような、悲しくも痛ましい姿であった。
姫の母君は三年まえになくなっていた、兄弟も姉妹もなく、もしここで頼宗が死ねば孤児も同様の身の上になるのだ、四万五千石の大名の家に生まれても、人の世の不幸から逃れることは出来ない、――否、大名の姫君なればこそ、かえって人知れぬ辛さ悲しさがあるであろう。
千草は黙って膝を見つめていた。
いつもの千草なら、もっともっと姫を慰めるはずである、何か訳でもあるのか、それとももう慰めるすべもないのか?