Japanische Klassiker mit Furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lesen Sie 花と龍 (はなとりゅう) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 410.131 Zeichen · 824 Bildschirme
熟達したみごとな腕前である。
なにもない白い金五郎の腕のうえに、龍の眼玉、鼻、角、髭、と、順々に、浮きあがる。金五郎は、チクチクと、痛いけれども、我慢した。
お京が笑って、
「痛そうね?」
「なんの、擽ゆうて、気持がええわい」
「腕なんて、一番、痛くないところよ。尻や、腰のときは、気の弱い者は、涙をこぼすわ」
針が、龍の上肢に来たとき、金五郎は、
「ちょっと待って」
と、お京の手を止めた。
「どうしたの?」
「その肢には、なにをつかむ?」
「宝珠の玉よ。きまってるじゃないの?」
「菊の花を、描いて貰いたいんじゃ」
「菊? 変ねえ」
不審げに、そういったけれども、お京は、いわれるまま、大束の菊を、龍の肢につかませた。
夜になると、心得顔の仲居が、粋をきかせて、蒲団を一つ、枕を二つならべて、出て行った。
おどろいた金五郎は、廊下まで、仲居を追っかけて出た。
「もしもし、姐さん」
「なんですかいな」
「床は、二つ敷いてくれんと、困るよ」
「阿呆らしか。野暮なことば、いいんしゃんな。そげんかことしたら、お京さんに叱られます」
「いかん、いかん。絶対、二つ」
「知らん、知らん」
「おい、待て、待て」