Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
とお母さんも返辞だけして、ナカナカ仕事の手をはなさない癖がある。
「お貞や、おやしきからのお手紙だ」
「まあ」
「お殿様がわしに相談があるそうだ」
「ご冗談でございましょう」
「いや、ほんとうだよ、ごらん」
とお父さんは得意だった。
粛啓
時下残暑凌ぎがたく候処益御清穆の御事と存上候 却説 伯爵様折入って直々貴殿に御意得度思召に被在候間明朝九時御本邸へ御出仕可然此段申進候 早々頓首
花岡伯爵家
八月十五日富田弥兵衛
内藤常太郎殿
富田さんは家令だ。もう年よりで目がわるいから一寸角ぐらいの字で書いてある。
「まあ、なんでございましょうね?」
とお母さんは合点がいかなかった。大将や重役になっている家来たちのところへは時おり特別にありがたいお沙汰があるそうだが、三百石の内藤常太郎さんはそれほどまで出世していない。正月の二日にごきげんをうかがって四月の観桜会へまねかれるだけだった。
「なんだろうなあ」
「ああ、わかりましたよ」
「なんだ?」
「あなたがあんまりご無沙汰をしていらっしゃるから、呼び出して切腹仰せつけるのかもしれませんよ」
「ばかをいうな。これはけっして悪いことじゃない」